6月1日の京都コンサートホール アンサンブルホールムラタ・コンサートシリーズ 室内オーケストラへの招待 第1回 ヘンデルの演奏会の第2曲は、ハープ協奏曲 op.4-6 HWV 294でした。
演奏は、第1ヴァイオリン8;第2ヴァイオリン8;ヴィオラ6;チェロ4;コントラバス2の規模で行われ、リュートストップ付きのチェンバロが通奏低音に入る構成でした(チェンバロ通奏低音が入ったのは、前半の2曲 合奏協奏曲op.6-12 HWV 350とこの曲)。
冒頭から独奏ハープの装飾音符の付け方少しバロック音楽とは違うなと思っておりましたら、カデンツが現代風のものになってびっくり。演奏の後の独奏者の説明では、京都市交響楽団と親交のあったフランスの指揮者が最近逝去されたため、オマージュとして、その指揮者のカデンツを演奏したとのこと。珍しい演奏の機会に恵まれました。
ハープというと、オーケストラの左端で演奏するのを見るのがほとんどでしたので、知らなかったのですが、倍音(ハーモニクス、フラジオレット)を出すことや音を止める(エトゥフェ)のに、あれほど忙しく操作しておられることがわかり、大変だなと思いました。
さて、この曲は、オルガン協奏曲としても良く知られた音楽なので、オルガン協奏曲が原曲で、それをアレンジしてハープ協奏曲として演奏されるようになったと考えがちですが、それは違います。
もともとハープ協奏曲として初演されたものを、後にオルガン協奏曲集作品6の最終曲として出版したという事情があります。
初演は、1736年2月19日 頌歌(オラトリオのようなもの)「アレキサンダーの饗宴」の演奏会で、曲の途中の演奏でした。どの部分かといえば、第1部の第4曲テノールのレシタティーボの後、ソプラノのレシタティーボの前です。第3曲は、一度聴いたら耳元からしばらく離れない曲「Happy, Happy, Happy Pair!」です。
このような演奏を再現したCDが発売されており、Harry Christophers指揮、合唱The Sixteen, 合奏The Symphony of Harmony and Inventionのものです。
このCDはまだ入手できますし、iTunesでも販売されております。こちらの演奏では、聞きなれない楽器が和音(コード)を演奏しているように聞こえます。
これは、リローネ(Lirone)という10弦近くあるコード演奏用の楽器です。ヴィオラ・ダ・ガンバのように膝の間に挟んで演奏します。バロック以降になると、コード進行の変化が慌ただしくなったため、忘れ去られた楽器になってしまいました。この演奏では、リローネとアーチリュートが通奏低音を担っており、独特の演奏となっています。
さて、この「アレキサンダーの饗宴」では、ハープ協奏曲の他に、第1部と第2部の間にも合奏協奏曲が演奏されました。それが合奏協奏曲「アレキサンダーの饗宴」HWV 318です。
これ以降、オラトリオと合奏協奏曲が密接な関係になっていくわけです。
さて、パティスリー「グルニエ・ドール」のルバーブのケーキを1年ぶりに食べることができました。今年はルバーブの出来が良いとのことで、ケースのなかに、加工前の赤い茎が飾られていました。フレッシュさが感じられるとても良い味でした。