2015年4月6日月曜日

不思議な色の花(ヒスイカズラ)人面花(アリストロキア・サルバドレンシス)


京都府立植物園の温室に不思議な色の花が咲いています。

ヒスイカズラ、Strongylodon macrobotrys 201544日、京都府立植物園    


こんな色の花があるはずないと思うのが普通で、造花ではないかと疑われるほどです。

これは、
和名ヒスイカズラ 
英名 Jade vine(「翡翠色のつる植物」の意味)
学名 Strongylodon macrobotrys

というフィリピン諸島原産のマメ科植物です。

この奇妙な色は、コピグメンテーションと言って、青色の花の発色に関係のある分子間および分子内相互作用によるもののようです。
アントシアニンの一種であるマルビンとフラボノイドの一種サポナリンが1:9の割合で存在しており、かつアルカリ性(pH.7.9)の環境でコピグメンテーションという相互作用が生じてこの発色になるとのことです。
同様の現象がハナショウブの青にも見られるとのことで、ハナショウブの豊かな品種の中には、このヒスイカズラに似た発色のものがあるかもしれません。

この写真はまだつぼみの段階で、もう少したつと、翼のように広がるようです。
また、このつぼみよりちょっと前の段階では、花弁は白色でした。写真を撮るのを忘れました。

この植物の受粉を媒介するのがちょっと変わっていて、オオコウモリが行うとのことです。オオコウモリが蜜を吸おうとすると、コウモリの重みで花が変形し、雄しべがちょうどオオコウモリの頭に触れる位置にきて、花粉を受け渡す仕組みになっているとのこと。

ちなみに、コウモリは夜行性でエコロケーションをすることで有名ですので、そのこととヒスイ色と関係があるのかと調べて見ましたが、

実は、オオコウモリは昼行性のコウモリで、エコロケーションではなく視覚に頼って行動しています。夜行性コウモリに特徴的な大きな耳介はオオコウモリにはありません。オオコウモリの視覚感度曲線とヒスイ色とは関係があるのかもしれません。

京都府立植物園には他にも変わった花が咲いていました。
アリストロキア・サルバドレンシスAristolochia salvadorensis201544日、京都府立植物園



薄暗い森の地面近くに、仮面のようなこの花が咲いていたら一瞬たじろぐと思います。
アリストロキア・サルバドレンシスAristolochia salvadorensisと言いまして
ウマノスズクサ属の食虫植物です。地面近くに花茎を伸ばし、昆虫を誘引して捕食するようです。両目のような白い部分が、薄暗い林床では昆虫の興味を惹きつけるのかも知れません。見かけの毒々しさを裏切ることなく、アリストロキア酸(腎毒性、発がん性)など主にアルカロイド系の有毒成分が含まれているとのことです。



アリストロキア・サルバドレンシスAristolochia salvadorensis201544日、京都府立植物園
花を裏側から見ると、昆虫を狙おうとしている様子がよく見て取れます。

最後に、キソウテンガイ(奇想天外)が蕾をつけているようでした。




園内は、京都さくらよさこいの演舞で賑わっていましたが、温室内はエキゾチックな花々が迎えてくれました。



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