残念！ 上深川（かみふかわ）桜

現在の行政区画は奈良市ですが、以前の山添村上深川（上深川）に巨大なヤマザクラの巨樹がありました。奈良盆地よりも開花が10日ほど遅れ、平地での八重桜の開花のころに満開になりますので、出かけてみました。

奈良市（旧山添村）上深川（かみふかわ）のヤマザクラ

残念なことに、主な幹が切り倒されていました。病気によるやむを得ない決断だったのでしょう。

切り口を見ると、ここ1年以内の伐採のようです。

古くからの地域のお墓を守る霊木のようでした。枝は天空はるか高くにあり、花の天蓋が春の訪れを死者に伝えているようでした。

奈良市の天然記念物になっており、その解説によると、地上からする分岐する幹周は0.5mの地点で6.5 m、樹高は12mほどとのこと。写真でみるように斜面にありますので、下から見上げた印象は天に花が咲いているような印象でした。

ヤマザクラでありながら、薄紅色の小さな花で、20年以上前に見た開花は見事なものでした。

現在残っている枝を見ると、葉が出ることは、ごく一部を除いて望めないようです。

年々弱っていたように思います。

少し希望があります。

大きな幹から、元気（？）なひこばえが1本だけ伸びていました。

何百年後かに、再び巨樹になることを期待しています。

品種としてもとてもめずらしいと思うので、巨樹とまではいかなくとも、組織培養でクローンを育てられれば良いと思います。

この桜の少し下流の集落を超えたあたりの山にもかなり大きな桜があったような記憶があります。