ソニーα6300のビデオのピクチャープロファイルをいろいろ試してみて感じたことは、それぞれのプロファイルの特性の違いがかなり明確にわかることでした。
1/2インチHD機であったXDCAM-EX1にも、いくつかピクチャープロファイルを設定することができます(Log記録はありません)。しかし、あまり違いがわからないように思っていました。
最新の4K撮影可能なカメラのダイナミックレンジがXDCAM-EX1とは比較にならないほど広くなっていることや、4Kでのノイズの少ない精細な画面が得られるようになったことが、ピクチャープロファイルのそれぞれの設定の違いを際立たせているのだと思います。
いろいろ試して、S-Logのグレーディングには、DaVinci Resolve 12が使いやすいと感じました。
グレーディングで単純にγ値やLUTをあてるだけであれば、Final Cut Pro XやPrelude CCでも可能ですが、以下に説明しますように、グレーディングする前に、適切なカラーコレクションを行わないと望ましい結果にはなりません。
そのようなコレクションをもっともやりやすいのが私にはDaVinci Resolve
12のように感じています。
まず、ピクチャープロファイル9(S-Log3/S-Log3)で撮影したもののクリップが以下のものです。
S-Log3撮影、無処理 |
コントラストの低い、寝ぼけた画面です。
これに単純にLUTをかけたものが次のクリップです。
単純にLUTをかけただけ |
S-Log2/3についてはソニーがLUTを無料で提供しており、DaVinci Resolve 12に設定をロードすることが可能です。実際にはすでに入っています。
ですが単にLUTをかけただけでは、イメージした映像にはなりません。
そこで、LUTをかける前の段階で前処理を行う必要があります。
イメージのゲインやオフセット、カーブ、彩度などを調整して最適な状態にした後でLUTをかけるのです。
カラーコレクション後にLUTをかけたもの |
それぞれに好みがあると思いますが、単純にLUTをかけただけと比較して印象がはっきりしてきたと思います。
そのようにしてカラーコレクションとグレーディングを行ったテストビデオを
Sony A6300 4K 24p S-Log3/ Color
Corrected & Graded; Kasuga Primeval Forest https://youtu.be/ceZxB1SXIf4
にアップしました。
DaVinci Resolve 12はMac/Windowsともに無償で提供されています。さらにMac版の特長としてProResの各種フォーマット(422類、444類)で出力できることが挙げられます。
ファイルサイズは大きくなりますが、MacではProResフォーマットが何かと便利です。
もう一つ、同じ無償ソフトとして便利なものにCatalyst Browserがあります。
これもMac/Windowsの両方の版があります。
Catalyst Browserはソニーのビデオフォーマットの処理に特に便利にできており、撮影したピクチャープロファイルの設定を自動的に読み取って、S-Log2, S-Log3それぞれに合わせたLUTを自動的にかけてくれます。
その他にも、撮影時のメタデータを以下のように表示してくれます。この2つの機能は、ブラウザとして映像の確認や整理を行うのにとても便利だと思います。
Catalyst Browserのメタデータ表示 |
これは、135mm F2.8 [T4.5] STFレンズのMFレンズの撮影情報ですので、距離情報が出ていませんが、Eマウントのオートフォーカスレンズであれば、距離データも出てきます。Capture gamma equationのところを見れば、どのピクチャープロファイルで撮影したかがわかりますし、NDフィルターを用いないと本当の適切な撮影にはならないこともここからわかります。
Catalyst BrowserでもProRes出力ができるはずなのですが、無料版では、HD解像度までで4Kの出力はできないようです。
しかし、XAVC-Sを始めとする各種XAVC形式の出力ができるのがCatalyst Browserの特長の一つです。XAVC-Sで出力すれば、画質の劣化なしにファイルサイズをもとの撮影したクリップとほぼ同じにできます。
もちろんCatalyst Browserで最終的なグレーディングをすることも可能で、
使い勝手の好みの問題と思います。
使い勝手の好みの問題と思います。
ビデオカメラとしてのαシリーズと、本格的なシネカメラの頂点F65に至るまでを概観したレクチャー(今年のNAB)をYouTubeで見ることができます。
Sony
Camera Lineup: From the α7s to the F65
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