2016年5月15日日曜日

ソニーα6300の4K動画の印象


FE 35mm F1.4、開放


2ヶ月ほどソニーα6300で動画撮影してわかってきたことをここでまとめます。
ここでは、4K 24P動画に限定します。
1.    画質
2.4
倍オーバーサンプリングのSuper35 mmサイズの画質は高解像度、低ノイズで、極端な撮影条件でないかぎり素晴らしい画質です。ピクチャープロファイルによるガンマ設定も実際の撮影したものによく反映されています。ですから、動画特有のエッジ強調をあまり行わない設定で撮影すれば、静止画の切り出しでもかなり良好なイメージが得られます。
2.    編集環境(Macに限定)
Mac
の編集環境でもXAVC-Sを快適に使うことができます。Final Cut Pro XでもPremier Pro CCでも問題なく編集できます。これらのソフトでS-log収録の動画のグレーディングを行うことはできますが、フリー版が公開されているDaVinci Resolve 12Catalyst Browserを活用することで、より高度なカラーコレクション/グレーディングを行うことができます。
DaVinci Resolve 12
にはMacでとても使いやすいProRes形式の出力オプションがあり、ファイルサイズが大きくなるということが許容できれば、動画編集ソフトに戻してからの処理がスムーズに行えます。またCatalyst Browserには動画の撮影情報の表示機能があり、撮影動画を整理するブラウザとして便利で快適です。さらにCatalyst BrowserにはXAVC形式での出力機能がありますので、ProResのようにファイルサイズが大きく増大することなく、グレーディング後に元のファイルとほぼおなじ程度のファイルサイズにすることが可能です。この処理の流れは、それほど作りこむ予定のない映像でもS-log2/3で収録することを可能にします。S-log2/3以外のピクチャープロファイルでの収録でも、Catalyst Browserの比較的わかりやすいカラーコレクション画面は便利に使えるように思います。なお、DaVinci Resolve 12Catalyst BrowserEDLを使った編集が可能です。
3.    ローリングシャッター
2.4
倍オーバーサンプリングによる高画質とのトレードオフとしてローリングシャッターの問題がかなり深刻です。ローリングシャッターの問題には2つの側面があります。一つは、静止したカメラで高速に動く物体(電車)を撮影した際に生じるものと、もう一つは静止した物体を固定されていないカメラ(手持ちなど)で撮影した際に生じるものです。前者では、走行している電車の窓枠がひし形になるのが典型的です。一方、後者は、花などの静止したオブジェクトを手持ちで撮影すると、カメラのブレによって画面が波打つように見えるものです。この影響は、撮影距離が短いほど、また焦点距離が長いほど顕著になります。ちなみに、激しく動く対象を手持ちで撮影すれば、この両方の特性が複合したものになります。
風景撮影や花のクローズアップ撮影の多い私にとっては、このカメラのブレによる「こんにゃく画面」がとても深刻です。いつでもどこでも三脚に固定して撮影すれば問題ないのですが、他者への配慮も必要です。
これについては、いくつかの対処法があります。
A.     
手振れ補正レンズを用いる
B.     
できるだけ広角で撮影する
C.     
ジンバル(ギンバル)を用いる(まだ試していません)

手ぶれ補正がある90 mmマクロレンズでは、注意して撮影すればかなり安定した映像になりますが、手ぶれ補正のないFE 35 mm F1.4では、安定した映像はほとんど得られません。手ぶれ補正があっても、安定して撮影できる焦点距離は、20 mm程度まで(つまり18-200 mmの広角端)という印象です。
普通の手持ち撮影の場合には、カメラの動きをできるだけ抑える対策が必要です。できるだけ広角で撮影し、カメラを支えることのできる手すりや壁などを使うようにすることでかなりコンニャク現象を抑えることができます。
もう一つの手段として、電柱などに寄りかかって撮影すると、動きをかなり抑えることができます。
風の影響も無視できません。手持ちでは、風に合わせて画面が流されることがよくあります。三脚があれば万全というわけではありません。風は収録音にも影響を及ぼしますので、その点の検討も大切です。音を別撮りして編集時に合わせるほうが何かと良いと思います。


FE 35mm F1.4、開放


2016年5月8日日曜日

ソニーα6300 S-Logグレーディング

ソニーα6300のビデオのピクチャープロファイルをいろいろ試してみて感じたことは、それぞれのプロファイルの特性の違いがかなり明確にわかることでした。
1/2インチHD機であったXDCAM-EX1にも、いくつかピクチャープロファイルを設定することができます(Log記録はありません)。しかし、あまり違いがわからないように思っていました。

最新の4K撮影可能なカメラのダイナミックレンジがXDCAM-EX1とは比較にならないほど広くなっていることや、4Kでのノイズの少ない精細な画面が得られるようになったことが、ピクチャープロファイルのそれぞれの設定の違いを際立たせているのだと思います。

いろいろ試して、S-Logのグレーディングには、DaVinci Resolve 12が使いやすいと感じました。

グレーディングで単純にγ値やLUTをあてるだけであれば、Final Cut Pro XPrelude CCでも可能ですが、以下に説明しますように、グレーディングする前に、適切なカラーコレクションを行わないと望ましい結果にはなりません。
そのようなコレクションをもっともやりやすいのが私にはDaVinci Resolve 12のように感じています。


まず、ピクチャープロファイル9S-Log3/S-Log3)で撮影したもののクリップが以下のものです。
S-Log3撮影、無処理
コントラストの低い、寝ぼけた画面です。
これに単純にLUTをかけたものが次のクリップです。
単純にLUTをかけただけ
S-Log2/3についてはソニーがLUTを無料で提供しており、DaVinci Resolve 12に設定をロードすることが可能です。実際にはすでに入っています。

ですが単にLUTをかけただけでは、イメージした映像にはなりません。
そこで、LUTをかける前の段階で前処理を行う必要があります。
イメージのゲインやオフセット、カーブ、彩度などを調整して最適な状態にした後でLUTをかけるのです。
カラーコレクション後にLUTをかけたもの
それぞれに好みがあると思いますが、単純にLUTをかけただけと比較して印象がはっきりしてきたと思います。

そのようにしてカラーコレクションとグレーディングを行ったテストビデオを

‪Sony A6300 4K 24p S-Log3/ Color Corrected & Graded; Kasuga Primeval Forest https://youtu.be/ceZxB1SXIf4

にアップしました。

DaVinci Resolve 12Mac/Windowsともに無償で提供されています。さらにMac版の特長としてProResの各種フォーマット(422類、444類)で出力できることが挙げられます。
ファイルサイズは大きくなりますが、MacではProResフォーマットが何かと便利です。


もう一つ、同じ無償ソフトとして便利なものにCatalyst Browserがあります。
これもMac/Windowsの両方の版があります。
Catalyst Browserはソニーのビデオフォーマットの処理に特に便利にできており、撮影したピクチャープロファイルの設定を自動的に読み取って、S-Log2, S-Log3それぞれに合わせたLUTを自動的にかけてくれます。
その他にも、撮影時のメタデータを以下のように表示してくれます。この2つの機能は、ブラウザとして映像の確認や整理を行うのにとても便利だと思います。
Catalyst Browserのメタデータ表示


これは、135mm F2.8 [T4.5] STFレンズのMFレンズの撮影情報ですので、距離情報が出ていませんが、Eマウントのオートフォーカスレンズであれば、距離データも出てきます。Capture gamma equationのところを見れば、どのピクチャープロファイルで撮影したかがわかりますし、NDフィルターを用いないと本当の適切な撮影にはならないこともここからわかります。

Catalyst BrowserでもProRes出力ができるはずなのですが、無料版では、HD解像度までで4Kの出力はできないようです。
しかし、XAVC-Sを始めとする各種XAVC形式の出力ができるのがCatalyst Browserの特長の一つです。XAVC-Sで出力すれば、画質の劣化なしにファイルサイズをもとの撮影したクリップとほぼ同じにできます。
もちろんCatalyst Browserで最終的なグレーディングをすることも可能で、
使い勝手の好みの問題と思います。

ビデオカメラとしてのαシリーズと、本格的なシネカメラの頂点F65に至るまでを概観したレクチャー(今年のNAB)をYouTubeで見ることができます。

Sony Camera Lineup: From the α7s to the F65




SonyノイズキャンセリングヘッドホンWH-1000XM4のトンネルボコッ大幅改善

 SonyノイズキャンセリングヘッドホンWH-1000XM4では、新幹線でのトンネル出入りの際のボコッが、WH-1000XM3と比較して大幅に減少しているようです。 山陽新幹線・九州新幹線ではトンネルが多いため、高速でトンネルに入ったり出たりすると、車内の気圧が急激に変動するため...