フィルム時代に、コンタックス-ヤシカのPlanar
1,7/50mmレンズを購入していたことを思い出し、Sony EマウントのSonnar 1,8/55mmと比較してみました。
まず室内での至近距離(0.6m)の絞り別の被写界深度や解像度について調べたところ、絞り値を変化させることによるフォーカスの位置移動は、ともにほとんど認めらませんでした。
印刷の網点の結像で評価した解像度チェックでは、いずれもf4.0〜11の範囲で高い解像度を示し、それ以上に絞ると回析ぼけの影響が明確にでてきました。
そこで、2つのレンズを絞り5.6に設定して、
C/Y Planar 1,7/50mmはα6500
Sony/Zeiss Sonnar 1,8/55mmはα6300
に装着し、絞り優先、デイライト固定で同一被写体を撮影しました。
Sonnar 1,8/55mmには付属のレンズフードを装着していますが、
Planar 1,7/50mmにはレンズフードを装着していません。
いずれも、Zeissの保護フィルターをレンズ前面につけています。
RAW+JPEGで撮影し、ここではJPEGのものを縮小して掲示しています。
JPEGに見られた違いがRAWイメージにもあることを確認しています。
柿、壺
C/Y Planar 1,7/50mm α6500 |
Sony/Zeiss Sonnar 1,8/55mm, α6300 |
上がPlanar 1,7/50mm、下がSonnar 1,8/55mmです(以下同様)。
背景の石畳のぼけや被写体との分離はSonnar 1,8/55mmのほうが良いように見えますが、これには、50mmと55mmの焦点距離の違いが大きく関係しているように思われます。
その他の点では、柿の橙色の微妙な違いや陶器の釉薬の発色などはよく表現されており、甲乙つけがたいと感じます。
一つ大きな違いがあるのは、柿の葉の表現です。まだ枯れ葉にはなっていないが萎れた緑の表情にはPlanarとSonnarでずいぶん大きな違いがあり、Sonnarのほうがまだ生命力が残っているように表現されます。
多分、発色特性の違いが関係しているのではないかと思います。
レリーフ
奈良町には、大阪万博の展示館の名残を一部に残す家屋があります。これはその一つ、レリーフです。
C/Y Planar 1,7/50mm α6500 |
Sony/Zeiss Sonnar 1,8/55mm, α6300 |
この2枚を比較すると、コントラストや発色が明らかに違います。この違いはRAWでも生じていました。
このコントラストの違いには、一つには逆光の影響もあった可能性があります。
先の柿は、11月末の午後2時ころに南から北に向けて順光で撮影していますが、このレリーフは、反対に北から南を向いて撮影しています。レンズに太陽光が直接あたることはありませんでしたが、Planar 1,7/50mmは逆光による全体のコントラストの低下がSonnarよりも目立つように感じました。
それにしても、Sonnarの金メッキの輝きようは、実物以上です。
着物
奈良では、観光客に着物をレンタルして街を散策してもらうお店が多数あります。特にアジア系の外国人観光客に人気で、近鉄奈良駅から奈良町までの商店街(東向商店街、餅飯殿商店街)で着物を着た人を見かけると、多くは外国人観光客です。そのようなレンタル店の客寄せ用の着物を撮影しました。店先に出しているものですので、それなりの生地しか使っていません。
C/Y Planar 1,7/50mm α6500 |
Sony/Zeiss Sonnar 1,8/55mm, α6300 |
赤と黄色の発色が、2つのレンズで明らかに異なっています。それぞれ個性があり、甲乙つけがたいと思います。のれんの赤は、Planarのほうに少し色気があるように感じます。暗部と明部の階調に違いがありますが、RAWファイルをCapture One 11で調整すると、着物の暗部やベレー帽の明部の階調もいずれも希望する階調にすることができる程度のわずかな違いです。
寄せ植え
C/Y Planar 1,7/50mm α6500 |
Sony/Zeiss Sonnar 1,8/55mm, α6300 |
シクラメンや赤い実、紫色の葉などの発色がどちらもきれいです。この写真でも緑はSonnarのほうが若干強く発色しているように感じます。
アメリカハナミズキ
三条通のハナミズキの紅葉です。
C/Y Planar 1,7/50mm α6500 |
Sony/Zeiss Sonnar 1,8/55mm, α6300 |
太陽に当たった葉は赤く紅葉し、上の葉の影になった部分は黄葉になっています。2枚の写真の印象にはずいぶん大きな違いがあります。背景のわずかな違いで露出が違っていることも影響していると思います。Planarが順当なトーンで、Sonnarのほうが少し主張の大きなトーンになっているように思います。紅葉(黄葉)もまだ生命活動があるのですが、それを感じさせるのは、どちらかと言えばSonnarのほうであるように感じました。
まとめますと、
C/Y Planar 1,7/50mmもSony/Zeiss Sonnar 1,8/55mmも満足できる発色やトーンを示すが、Sonnarのほうがわずかに発色が強い。
コントラストは、Planarのほうがわずかに低い。逆光によるコントラスト低下の影響をより強く受けやすい。レンズフードを装着したほうが良い。
ぼけの違いについては、5mmの焦点距離の違いが影響しているものと思われる。
C/Y Planar 1,7/50mmはC/Y Planar 1,4/50mmと比較されることが多いのですが、Y/C
Planar 1,7/50mmも高く評価されています。
穏やかな写真にしたければ、C/Y Planar 1,7/50mmが十分に応えてくれると思います。
ただ、両方とも十分に満足できる性能ですので、AFであるぶんSony/Zeiss Sonnar 1,8/55mmのほうが使いやすく、強いてC/Y Planar
1,7/50mmでなければという状況は少ないようにも感じました。