6月28日の京都コンサートホール・アンサンブルホールムラタ
室内オーケストラへの招待Vol.3
の
ハイドン 交響曲第92番「オクスフォード」
ベートーヴェン 交響曲第3番「英雄」
鈴木秀美マエストロ/京都市交響楽団
は興味深い演奏会でした。
演奏会では、第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンを左右に振り分ける「対向配置」となっていました。京都市交響楽団が対向配置で演奏するのは初めてではありませんが、対向配置の中でもコントラバスが向かって左端に配置されたのはこれまであまりなかったように思います。
この配置では、作曲家が意図した第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンのやりとりが明確に伝わってきます。
「英雄」では、新校訂版を使って演奏されました。
演奏にも随所に検討や工夫が感じられました。
とりわけ注目されたのは、
ティンパニの打音を少し鋭い、いわゆる「古典派的」といわれる音にするため、
木製ヘッドのマレットを使い、先端の大きいものと小さなものを使い分けておられたことです。
それから、楽器が隠れてよく見えなかったのですが、ホルンとトランペットについては、作曲当時はバルブなしのナチュラル楽器であったことに配慮した工夫があったように思います。確実ではありません。
演奏はエネルギッシュで、会場が1つになるものでした。とても良い時間を過ごすことができました。
古楽演奏家や指揮者の演奏は古臭いなどというイメージがあるとしたら、それは全くの間違いです。この演奏にかぎらず古楽を背景にした演奏家や指揮者の演奏にも、音楽の生命力やエネルギーが満ち溢れています。
「英雄」の新校訂版の第一楽章のトランペットの音程の変化を、力のない演奏と感じるむきもあるようですが、演奏全体の構成がしっかり検討されておれば、決して音楽の生命が失われることはありません。
「英雄」の演奏も室内オーケストラの規模で演奏されました。ざっと数えたところ、40名を少し超える程度でした(第1、第2ヴァイオリンがそれぞれ8丁)。
これはロブコヴィッツ邸での試演時よりも少し大規模ですが、作曲当時の交響楽団の規模とほぼ同じ規模です。それでも、現代オーケストラに匹敵するエネルギッシュな演奏を堪能出来ました。
後ほど、古楽演奏家たちの「英雄」と、ティーレマン/ウィーンフィル、ヤンソンス/バイエルン放送交響楽団の「英雄」と比較検討することにします。
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