2015年12月31日木曜日

酒井抱一 夏秋草図屏風 その2

夏草(右隻)  水と静寂



右隻の構図の主要部を構成しているススキと水たまりについて見てみましょう。
ススキについては、葉や先端が大きくたわんでいることがわかります。
このたわみは左右にほぼ均等であることから風によってたわんでいるのではなく、雨しずくが葉についているため、その重みでたわんでいることがわかります。加えて、茎自体もたわんでいることから、このススキは茎がしなやかでまだ硬くなっていないことを示しています。

このススキに雨しずくがまだ多く付着していることを想起させるもう一つの手がかりが右上の水たまりの存在です。この水たまりは、幅が様々に変化していることから、川ではなく地面のくぼみにできた水たまりであり、流線が描かれていることから、少し流れがあることを示しています。また、水面が群青色で描かれていることは、宗達の白梅紅梅図屏風が同じ群青(もしくは黒)で夜の川を表現していることから考えると、夕立で少し強い雨が降った後の夕方遅くから夜にかけての情景をこの右隻が示していることがわかります。

水たまりは、渦を作るような流れではなく流れているとしても緩やかな流れです。

この右隻だけを見ると、夕立のまとまった雨の後の静寂の世界を描いていることになります。この無風の静寂の中で植物は雨しずくを含んで静かにたたずんでいます。

右隻だけで見ると、左下の夏草の群落と右上の水たまりとが対比関係となっています。その意味では左右の均衡がとれた構図です。
右上の水たまりについては、左隻との関係もあります。それについては後で検討します。


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