自然観察の楽しみ方の一つが「定点観測」です。
私が楽しんでいるそのような定点観測の一つが、切り株の上の小宇宙です。
京都府立植物園のハス池の近くに切り株があります。昨年は樹皮の部分がまだしっかりしており、中心の木部の腐敗が進んでくぼんでいました。
切り株 2015年7月 京都府立植物園 |
切り株の上は、様々なコケやイヌタデやカヤツリグサ、ヘクソカズラと思われる草本が小さな世界を構築していました。木質を分解する腐朽菌(キノコ)も少し認められました。昨年(2015年)7月に撮影したものです。
同じ切り株が、今年(2016年5月末)には、下のように変化していました。
切り株 2016年5月末 京都府立植物園 |
これだけですと、ヘクソカズラ(と思われる)がさらに繁殖したことを除いてはあまり変化していないように見えます。
しかし、細かに観察しますと、大きな変化が見えてきます。
まず、木材腐朽菌の活動がますます盛んになりました。切り株が朽ちる速度が今後ますます高まるのでしょう。
木材腐朽菌 2016年5月末 京都府立植物園 |
それに、昨年はほとんど観察されなかった、木本の芽吹きが見られます。
切り株の上のカエデの芽吹き 2016年5月末 京都府立植物園 |
近くのカエデの種が芽吹いたようです。
その他にも、樹皮の部分へのコケの付着が顕著になったことや、木質の土壌化が進んでいることなど、それぞれの変化は小さくても、この小宇宙全体を見ると、想像以上に速い速度で状況が変化して行きます。ささやかな定点観測ですが、自然の営みを観察できます。
0 件のコメント:
コメントを投稿