2016年4月17日日曜日

平成28年(2016年)熊本地震

突然発生した熊本地震。被災された方々には心からお見舞いもうします。
阿蘇山からの2回の大きな火砕流の上に形成された熊本平野で、平時には湧水に恵まれた土地ですが、火砕流ゆえの地盤のもろさが今回は残念なほうに作用したのかも知れません。

九州大学地震研究所のホームページに、震源の過去24時間、1週間、1年間のデータが15分毎に更新されていて、活動の推移を観察するのにとても役立ちます。

本震とそれに引き続き大分県でも地震が発生した時点での、過去1週間(つまり、ほぼ今回の熊本地震の発生からの期間)を過去1年間と比較すると、とても興味深いことがわかります。



赤やオレンジ色の●で描いたものが熊本地震発生前の過去1年間の震央で、●の大きさはマグニチュードに比例しています。
一方、緑色や紫色の□で示したものが、415日午前815分以前の1週間(ほぼ熊本地震の期間)の震央です。これで見ると、今回の地震は、布田川断層帯と日奈久断層帯のうち、高野-白旗区間に当初は発生していたことがよくわかります。しかも、地震活動が比較的活発な中で、過去1年間にはあまり活動がなかった部分が今回の震央になっているように思います。
この図の過去1年間の活動は全てが●で示されており、過去1週間の活動は□で示されているのには理由があります。実は、□はコンピュータで震央を自動計算して示したもの(暫定結果)であり、●は手作業で確認した結果(確定結果)を示しています。過去1年間の震央マップには□が一つも記載されていませんので、過去1年間マップには確定結果しか示されていないことになり、今回の地震はまだ、手作業による確認が済んでいないため、過去1年間マップは今回の熊本地震より前の地震、過去1週間のマップが今回の群発地震とうまく切り分けられるのだと思います。

これに対して、阿蘇山や大分県に今回発生した地震は、過去1年間に震央のあった部分に重なっています。ということは、布田川断層日奈久断層帯高野-白旗区間)の地震からの刺激を受けたかもしれないが、阿蘇山や大分県の地震はすでに活動している場所の活動が増加したものと考えられます。震源地が次第に東進しているような印象が持たれて、次は中央構造線を辿って豊後水道、四国と不安になりがちですが、そのように結論づけるのはまだ早計でしょう。

それより心配なのは、最近の地震が、布田川断層帯の当初より西側(海に近いほう)、日奈久断層の高野-白旗区間を越えてさらに南西側(日奈久区間)にまで及んでいるように見えることです。
特に日奈久断層で高野-白旗区間を超えていることは日奈久区間のほうが高野-白旗区間より長く、横ずれ断層が連続して続いているので、この区間で更なる大きな地震とならなければ良いがと懸念しています。
高野-白旗区間に限定されていたら成り立つかもしれない、いろいろな推論の見直しが必要になるのでしょう。

この断層帯についてのまとまった情報は
布田川断層帯・日奈久断層帯の評価(一部改訂)
にあります。

東京大学地震研究所にも解説がありますので合わせてとても有用です。

また、だいち2号による地形変動の干渉解析の結果は
に出ています。20141114日と2016415日の比較です。
ひょっとしたら、変位の激しい2つのスポットのうち北東側のほうが何らかの地形(段丘など)と一致しているかも知れませんし、またその南東縁(変位の変化が急激な部分)は、家屋倒壊が激しかった地区に対応するのかも知れません。

自分の居住地の近くに活断層があるかどうかは、国土地理院の
都市圏活断層図
もっと具体的に、
九州地区については
に記載してあります。
拡大すると詳しく確認できるとても貴重な情報です。

同じ九州出身の私としては、熊本県の皆様の忍耐強さを感じていました。被災された方々が、そのような素晴らしい県民性を発揮されて難局を乗り越えられると信じております。

0 件のコメント:

コメントを投稿

SonyノイズキャンセリングヘッドホンWH-1000XM4のトンネルボコッ大幅改善

 SonyノイズキャンセリングヘッドホンWH-1000XM4では、新幹線でのトンネル出入りの際のボコッが、WH-1000XM3と比較して大幅に減少しているようです。 山陽新幹線・九州新幹線ではトンネルが多いため、高速でトンネルに入ったり出たりすると、車内の気圧が急激に変動するため...