2018年1月22日月曜日

京都 レ・シャンドール 2018年1月

久しぶりにフランス料理のレ・シャンドール(京都)


Le champ d’orは「金色の農場(農園)」の意味で、そのため、ところどころに金色がモチーフとして使われています。しかし、控えめで、華美すぎることは全くありません。

レ・シャンドール 位置皿(メディチ家の紋章)


最初にテーブルに置かれている位置皿の紋章は、メディチ家の家紋で、薬剤商として財をなしたことを、丸薬と薬入れのモチーフで表しています。
なぜフランス料理なのにイタリアなのかというと、メディチ家のカトリーヌ・ド・メディシス15191589)が後のフランス国王アンリ2世と結婚する際に、料理人をイタリアから多数連れて行ったことが現在まで通じるフランス料理の始まりだからです。

つまり、レ・シャンドールでは、フランス料理の原点を常に意識した料理を提供することをシェフが暗に示しておられるのです。

これは、オーソドックスなフランス料理で他に何も工夫しないという意味では決してありません。新しいテクニックもさり気なく使っておられ、素材の選択も時に大胆と感嘆することもあります。

ですが、ニューベルキュイジーヌ的なフランス料理との違いを強いてあげれば、ニューベルキュイジーヌがどちらかと言えば、素材の対比で新たな味覚や視覚を得ようとするのに対し、レ・シャンドールでは素材そのものの持ち味は大切にするが、異なる味との調和も図る。いわば調和と対比をアウフヘーベンした所に生じる味覚を追求しておられるように感じています。
また、ニューベルキュイジーヌは調理技法を料理にあからさまに見せるような印象(つまり、新しい技法を使っていることを表面に打ち出す)があるのに対し、調理技法は調理室においておいてテーブルには見せず、様々な味の調和、オーケストレーションをお客様に感じていただくことを目指しておられるようにも感じます。

そのことを今回最も強く感じたのが、牡蠣(鳥羽産)のポッシェです。

レ・シャンドール 牡蠣のボッシュ 2018年1月


牡蠣をコンソメで煮て、その煮汁を煮詰めてそれを生クリームと混ぜてホイップするという調理法とうかがいました。同じく牡蠣の煮汁のジュレも載せられ、底には春野菜(おそらく菜の花)が敷き詰められていました。

共通の材料が使われているため、牡蠣本体とクリームの調和は素晴らしく、一方で牡蠣とクリームの本来の味はバランスよく保たれています。また、牡蠣と敷き詰められている春野菜との対比と調和については、春野菜には、春野菜特有の風味をあまり強くは持たせておらず、これから34月に路地野菜が芽吹く際の強い香気を、ほんのすこしだけほのかに想起させる程度に留まっており、それが丁寧に調理され整えられた牡蠣の味と素晴らしく調和していました。

レ・シャンドール オマール海老などのコンフリ 2018年1月


もう一つの冷製オードブル
オマール海老などのコンフリと思います。

このグラス、イタリアのルイジボルミオリのグラスでした。


レ・シャンドール ズワイガニのフラン仕立て 2018年1月



温製オードブル ズワイガニのフラン仕立て
日本料理で言えば茶碗蒸しのようなイメージです。




レ・シャンドール フォアグラのナージュ 2018年1月

もう一つの温製オードブル
フォアグラのナージュ、ブイヨン仕立て。黒いのはトランペット茸です。
フォアグラといえば、パテやソテーを思い浮かべますが、ここでは煮込んでおり(ナージュ)。その火を入れる量も最小限でフォアグラそのものの風味がどのようなものかよくわかりました。トランペット茸が絶妙な味の対比となっていました。


レ・シャンドール 鴨のソテー 2018年1月

肉料理の鴨のソテー。添えられた野菜に大根が使われており、中までしっかりと味が染み込んでいました。12月の京都の寺院の風物詩、大根焚きにちなんだ病封じの意味があるのかも知れません。


レ・シャンドール 真鯛のグリル(上下さかさまに撮影) 2018年1月


魚は真鯛のグリル(写真は逆方向から撮影)。この外側がからっとしていながら、中の白身に芳醇さが残っているレ・シャンドールの魚料理はいつまでも触感として記憶に残ります。



レ・シャンドール デザート カシスのソルベなど 2018年1月
デザートはカシスのソルベなど。

レ・シャンドール お花 2018年1月

生花もお正月の風情を醸しながらも、フランス料理に調和する雰囲気でした。

写真は、Sony α6500にSonnar 1,8/24mmでサイレント撮影し、
Capture One 11で色温度調整を含めた現像を行ったものです。



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