2018年1月6日土曜日

冬の星座 天体写真 初心者以前

冬になるとオリオン座が夕方に東の空から上がってきます。
街なかでは空が明るく一部の星しか肉眼では観察できないのですが、そんな時でも写真で撮影してみると、意外に多くの星が見えてきます。

本格的な天体写真となると、望遠鏡や追尾装置を準備し、画像処理をするソフトウェアを準備するなど、とても敷居が高いものとなります。

ここでは、カメラとレンズ、三脚さえあれば撮影できる、天体写真の初歩以前の最初のとっかかりに挑戦してみました。

空が見える自宅の室内から撮影するとてもずぼらな撮影ですが、雲さえなければ、結構撮影できます。

カメラはミラーレスカメラで十分です。

カメラの設定は
マニュアル露出マニュアルフォーカスが基本です。
長時間ノイズ除去機能はoffにしておきます。

露出などの設定:
ISO感度を、そのカメラでノイズが許容できるできるだけ高い感度に設定します。最近のAPS-C以上のサイズでは、ISO 50006400を目安にしたら良いと思います。

レンズはできるだけ明るいレンズが良いでしょうが、キットレンズでも絞りを開放もしくは1段絞る位にすると撮影できます。

三脚に固定した状態で星を点として撮影するには、露光時間に気をつける必要があります。
その目安として、
                露光時間の最長値(秒) = 500÷(フルフレーム換算焦点距離;mm
を参考にしてください。

つまり、フルフレーム換算で50 mmAPS-Cなら35mm程度)のレンズで撮影するのであれば、最長露光時間は500÷5010秒ということになります。

デジカメの利点として、撮影したらすぐに確認でき、適切な露出でなかったらいくらでも削除できるという点があります。

ですから、フルフレーム換算で50 mmのレンズを使う場合には、ISO 50006400に設定し、絞り開放か1段ほど絞り、視野とフォーカスを調整し、1/4秒程度から10秒までの間の何段階かの条件で撮影すれば、その中に確実に星座が写っているものがあります。

視野を決めるには、どの星座かを知る必要があります。これには、スマートフォンのアプリケーションが多くは無料で使えます。中には空に向けるだけで、その空にある現在の星座を自動的に表示してくれるものがありますが、スマートフォンの磁気センサーがうまく調整されていなかったり、建物内の金属の影響を受けたりしてセンサーが正確に北を示さないと、表示される星座もずれてきます。

冬の12月から今頃なら、オリオン座を見つけてそこからみたい星を探すという方法があります。オリオン座はとても特徴ある天体で、冬には夕方に東の空に上り、9時前後に南中しますのでわかりやすいです。

下の写真は、ほぼ初めてとった星空写真で、α6300Sonnar 1,8/24mmで撮影したものに、星座と星の名称を書き込んだものです。




ごらんのように、雲がかかっている悪条件ですが、オリオン座の上半身とふたご座の全体が写っています。


オリオン座がわかると、牡牛座も確認できるようになります。この牡牛座にはすばると日本では呼ばれていたプレアデス星団が見えてきます。



東の空での撮影ですので、南中時と比べると90度回転しているように見えます。
残念ながら、この初歩以前の撮影法では星の周りの星雲を撮影するのはとても困難です。

三脚固定でも星雲の片鱗が見えるものがあります。それがオリオン大星雲です。


これは、オリオン座の下半身の部分ですが、中央より右下の3つ並んだ星(のようなもの)の真ん中にぼやっとした2つの点に見えるのがM42オリオン大星雲です。

静止画撮影に成功したら、ビデオ撮影に挑戦するのも楽しいものです。

撮影したビデオ映像に思わぬものが写っている場合があるからです。


これは、プレアデス星団を200 mm望遠でビデオ撮影していた時に、人工衛星が偶然通りかかったビデオから切り出したものです。赤丸に写っているものだけ横に伸びているのは、移動していることを示すものです。

薄暮や早朝にビデオ撮影すると、多くの人工衛星を確認することができます。
人工衛星で特に明るく見えるのはISS国際宇宙ステーションです。ISSの通過位置を教えてくれるフリーソフトもありますので、それを参考にするとうまく撮影できます。

早朝には人工衛星のビデオ撮影以外にも楽しみがまだあります。朝焼けです。
幸運に恵まれると、紫色、赤色、黄色と変化する朝ぼらけを撮影することが可能です。






いずれも4Kビデオからの切り出しです。

天体写真は後処理をすることで画像がよりよくなります。PhotoshopLightroomにはイメージ合成やヴィネット補正などの必要な機能が備わっています。

この初歩以前の天体写真の撮影に成功したら、露出条件をさらに最適なものにしたり、適したレンズを見つけたり、追尾装置を入手するなど、さらに高度な撮影に進めば良いでしょうが、この初歩以前の段階でも宇宙が自宅から見えるという感動を家族と分かち合うことができます。

特にオリオン座については、オリオンの肩にあたる赤色巨星ベテルギウスが近々超新星爆発する、明日起きてもおかしくないと言われています。

オリオン座を撮影あるいはビデオ撮影していれば、ひょっとしたら、その最初の目撃者になるかも知れません。



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