はるか昔、私がまだ小学生になる前のことです。
田んぼのあぜ道や日当たりの良い土手には、美しい花々が季節に合わせて次々に咲いていました。
春を彩る花として、強く記憶しているのがオキナグサでした。田舎のことですから、オキナグサという標準名ではなく、方言で呼んでいたと思うのですが、記憶にありません。
植物体も花も白い毛で覆われ、赤紫色の花びら(正しくは萼片)の中心に黄色の雄しべがある姿には驚き、雑草とは別格の神々しさを感じたものです。花が終わり綿毛がつくのですが、形成されたばかりの綿毛には、まだ水分が多く含まれており、頬にあてるとひんやりとした冷たさを感じました。
その当時は、そんなに株数は多くなかったのですが、それでもあぜ道を見渡せば1株は見つかるものでしたので、いつでも見つかるものと思っていました。ところが、日本では絶滅危惧種(環境省 絶滅危惧II類;京都府 絶滅寸前種)になっているのですね。
2015年4月に京都府立植物園でセイヨウ種のオキナグサの開花を見てそんなことを思い出しました。残念ながら、今年(2018年)には、オキナグサを含めたロックガーデン全体の植物が激減しており、ごくわずかな株が綿毛をつけているだけです。
Pulsatilla armena 京都府立植物園 2015年4月 PC micro Nikkor85mm |
Pulsatilla armena
日本のオキナグサと比べると、西洋種のオキナグサは上向きに花が咲くものが多いようです。
Pulsatilla halleri ssp. grandis
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Pulsatilla halleri ssp. grandis
園芸植物として、ヨーロッパのナースリーで販売もされているようです。
種名不明 京都府立植物園 2015年4月 Sony 135mm STF |
種名不明
垂れ下がって花をつけるところは、日本のオキナグサに似ています。
セイヨウオキナグサの綿毛 形成まもなく 京都府立植物園 2015年4月 Micro Nikkor 105mm |
形成まもなくの綿毛。このような状態の綿毛は、子供の頃、頬にふれるとひんやり感があったように記憶しています。植物園ではできませんが。
思い出して見ると、田んぼのあぜ道や土手には、ツクシ、ヨモギ、オキナグサ、ワラビ、イタドリ、ヒガンバナなど、美しい花々や食用植物がありました。
その中でもオキナグサの神々しさは、単子葉植物でのキンランと合わせて圧倒的なものがあったように思います。
写真はいずれもSony α6000で撮影し、レンズは、PC micro
Nikkor85mm, Micro Nikkor 105mm, Sony 135mm STFを使っています。
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