奈良市春日大社の森、春日原始林にはヒメハルゼミが生育しています。今年もその大合唱が聴かれるようになりました。
6時すぎに「下の禰宜道」(通称、ささやきの小径)では、ヒメハルゼミに加えてヒグラシまで鳴いていました。
ヒグラシは比較的低い高さで鳴いていますが、ヒメハルゼミはおそらく大木の樹冠で鳴いているようです。音頭取りの1頭が鳴き始めますと、それに合わせて同じ樹冠のヒメハルゼミが一斉に鳴き出します。するとそれが刺激となって、隣の樹冠のヒメハルゼミが鳴き始める、鳴き声の中心が次々に変わっていくという具合で、周囲を圧倒する大迫力です。今回も録音しましたが、ヒグラシまで鳴いているということで、ヒメハルゼミだけの大合唱を録音した、2011年7月16日の録音のスペクトルグラフを紹介します。
上のグレーの2本が音声波形です。集団で次第に鳴き始めて、終わるのも少しずつ少なくなりますので、大きな音の塊がいくつかでき、その間隔はほぼ一定です。
下がその一部のスペクトルです。96 KHz 24ビット録音のものの28kHzあたりまでの周波数をパワー表示しています。8 kHz, 14 kHz, 24 kHzあたりにパワーのピークがあります。人の可聴域を超えた成分があるのです。まさに天然のハイレゾ音源です。
合唱の山場あたりには、大きな周波数のうねりがあることがよく見えています。
ちなみに、ヒグラシのパワースペクトルは
2、4.5、6.5、10.5、12.5kHzあたりに縞々状にみえています。こちらは人の可聴範囲に収まっています。
春日原始林のヒメハルゼミは、それ自体は天然記念物になっていませんが、原始林自体が特別天然記念物です。
春日大社から志賀直哉旧宅への「ささやきの小径」や上の禰宜道など比較的多くの場所で聴くことができます。
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