2016年3月23日水曜日

ソニーα6300 ピクチャープロファイル

α63004K動画を少し撮影してみて、相当な潜在能力を秘めていると感じました。
そこで、動画撮影のための準備として、実際の撮影状況を素材に、ピクチャープロファイルの設定による映像の調子の変化について確認してみました。
その結果を以下のYouTubeに掲載しています:

Sony A6300 4K 24P Real World Footage with various Picture Profiles

α6300ではピクチャープロファイル(PP)オフPP1PP10種類の設定が可能です。このうちPP7PP9S-Log2またはS-Log3であり、通常鑑賞するには、グレーディングの作業が必要になります。グレーディングについては、現在練習中ですので、YouTubeにはピクチャープロファイル(PP)オフ、PP1PP6のものについてテストフーテージをまとめています。それぞれ同じシーンでPP7PP9も実際には撮影しています。

紹介しているシーンは、風景3種と室内での小物撮影2種です。

1.    大乗院庭園文化館
奈良市の奈良町と奈良ホテルの間にある旧大乗院の庭園に建てられている文化館の柳、桃、それに壁面に映る柳の影を撮影しました。PPの変化によって、ガンマカーブが変化しますので、影の濃さや空の青さが明確に変化します。
2.    春日大社近傍
春日大社の森の一角の木々の様子を順光で撮影したもの。日向と木陰の明暗差や、落葉樹の枝の細かな描写、常緑樹の葉のトーンの再現、空の青さに関してPPによりかなり違いがあります。
3.    春日大社近傍
こちらは逆光の撮影。
4.    室内での小物撮影 おはぎ(きな粉、つぶあん)
5.    室内での小物撮影
本の表紙の表現と、厚い本が作る影の比較。

他にも、風景をパンしたものや花を撮影したものも挿入しています。

PP1から6がそれぞれどのような特性のものであるかは、テロップで示してあります。

個人で楽しむのであれば、ピクチャープロファイルをオフにしたままでも、十分にメリハリのついたビデオになると感じました。

ピクチャープロファイルについては注意しておかなければならないことがあります。ピクチャープロファイルの設定が静止画でも適用されることです。
つまり、例えば、PP9S-Log3)で動画撮影した設定のままで静止画を撮影すると、S-Log3のガンマ特性を持った(つまりかなりコントラストの低い)静止画が撮影されることになります。静止画にも適用されることは、ヘルプガイドに明記されています。

また、PP1PP9に設定すると、静止画の撮影の設定が1枚撮影になり、例えば、静止画で3枚ブラケット撮影モードにしておいても、1枚撮影に変化してしまいます。

S-Logのガンマ特性を持った静止画を誤って撮影しても、あとでトーンカーブを変化させれば対応は可能なのですが、めんどうです。

そこで、私は、モードダイヤルにあるプリセット12で静止画と動画の基本設定を即座に変更するようにしました。ただし、プリセットで設定できるものとできないものがあり、S-Log撮影の際に便利なガンマ表示アシストについては切り替えることができません。もっとも、ガンマ表示アシストの設定をオートにしておけば、実用的に問題になることはありません。

静止画と4Kの静止画切り出しとでは、解像度やトーンが明らかに違います。青空を背景にしたナンキンハゼの枝を映像からの切り出しと静止画で比較すると、動画処理では輪郭処理(ディテール)がかなり強くなされていることがわかります。
ナンキンハゼ 逆光 静止画の一部

ナンキンハゼ 動画からの切り出し (部分)PP Off


ただ、PPの設定によっては、輪郭強調がそれほど目立たない場合もあります。
アセビ 動画からの切り出し(全景)


一部 PP4の設定:輪郭強調がそれほど目立たない

Log収録のグレーディングについては、Final Cut Pro XPrelude CCCatalystを使って練習中ですが、満足できる映像に仕上げるにはまだまだ経験が必要です。


2016年3月20日日曜日

「あさが来た」の林檎

NHK朝の連続テレビ小説「あさが来た」はとても素晴らしい作品です。
緻密に作りこまれた構成は、音楽作品のようにも感じます。その点については、後ほど。

史実とフィクションを巧妙に混ぜあわせる中で、細やかな時代考証もされているようです。

その中で、千代の恋のモチーフに使われた林檎が気になりましたので、整理してみました。

劇中で使われた林檎は、全球真っ赤で中型〜大型の林檎でした。真っ赤な林檎としてすぐに思いつくのは紅玉Jonathan)ですが、紅玉にしてはサイズが大きすぎました。次に思いつくのはジョナゴールドです。これなら真っ赤な色と大きさが一致します。撮影に使われたのはおそらく袋掛けした(有袋)ジョナゴールドであったのではないかと想像します。

ところが、ここに大きな問題が生じます。林檎が使われた時は、1895年(明治28年)から1898年(明治31年)のころと設定されていました。

ジョナゴールドの品種が作出されたのは、1943年(昭和18年)なのです。日本への導入はさらに遅く1970年ですので、あの「赤い林檎」がジョナゴールドとは考えられないことになります。ちなみに、ジョナゴールドはゴールデンデリシャスと紅玉(ジョナサン)の交配種です。

ここで、セイヨウリンゴの日本への導入について、いろいろなソースからまとめておきます。(江戸時代以前から栽培されていたワリンゴもありますが、それは別の話しとして)

1868年または1871年にアメリカ合衆国からセイヨウリンゴ75種が導入されました。その後の試験栽培を経て、生産地青森県から東京へ商品として鉄道を使って初出荷されたのが1891年(明治24年)であり、1894年(明治27年)には清国への初輸出を達成しています。
「あさが来た」のエピソードとして、病人のお見舞いの果物であったり、銀行の有力支援者のお土産であったりしたのは、まだ貴重な果物であったその当時の状況をよく反映していると思われます。今に例えれば、近くのスーパーで販売しているリンゴではなく新宿高野や銀座千疋屋に鎮座ましましている高額な林檎に相当するものと思います。

袋掛けを行うようになったのは、1905年(明治38年)からで、その目的は虫害予防でした。

この時代にどのような品種が栽培されていたかといえば、国光(こっこう;Rals Janet)紅玉(こうぎょく;Jonathan)でした。少し後になりますが、1911年(明治44年)の青森県りんご統計では、樹種構成比で、国光(Rals Janet)47.6%、紅玉(Jonathan)が30.3%で、この2種だけで80%近くを占めていました。日本でリンゴと言えば国光か紅玉という状態は戦後まで続いていました。

国光は、あれほどまでに綺麗に真っ赤に色づくことはありませんし、黄色の斑点が目立ちます。

ですから、1895年(明治28年)から1898年(明治31年)という時代設定で赤い林檎というのは、無袋の紅玉であるというのが妥当な推定になります。それをジョナゴールドで代用したのでしょう。

しかし、そこにもう一つ問題が生じます。紅玉の味は、「甘い」というより「酸っぱい」です。よのさんが甘いお菓子は食べなくなり、林檎のすりおろしたものしか食べないという説明に、すりおろした紅玉はちょっとふさわしくありません。ジョナゴールドならそのようなイメージにぴったりですが。

明治から戦後しばらくまでの日本のリンゴの主力品種であった国光と紅玉ですが、現在ではどうなっているのでしょうか?
紅玉は生食すると酸っぱいのですが、製菓用、加工用としては、格別に優れた特性を有しているため、未だに一定量の出荷がなされており、秋を告げる果物として店頭によく並んでいます。一方、国光は市場に出ることはほとんどないそうで、青森県の生産者からの取り寄せでわずかに入手できる程度だそうです。

さて、昨年は、京都府立植物園でニュートンのリンゴ(フラワーオブケント)が初結実しました。残念ながら完熟には至らなかったようです。
8月のはじめに私が撮影したものを紹介します。
ニュートンのリンゴ(フラワーオブケント)
2015年8月1日 京都府立植物園
  
今年の新芽はこのような状態です。
ニュートンのリンゴ(フラワーオブケント)
2016年3月12日 京都府立植物園




2016年3月17日木曜日

Sony α6300の動画

ソニーα6300のα6000との大きな違いは、4K動画が撮影できることと、最高5倍の高フレームレートHD収録が可能であることです。

重要なことは、S-Log2/S-Log3の収録や、外部からの音声入力(2つの手段)が可能であり、本格的なビデオ収録に耐えられる仕様となっていることです。

加えて、4K動画は、全画素読み取りで行い画質の向上、高感度ノイズの低減、モアレの低減が大きく期待されます。

ただ、注意しなければならないのは、4K動画に関して、Super 35 mmに相当する撮像エリアを有しているのは、24P撮影モードだけであり(この場合、2.4倍のオーバーサンプリング)、30Pでは、撮影範囲(画角)が若干狭くなるという点です。

下の図に、おおまかな撮影範囲を図示してあります。
ソニーα6300 4Kビデオの撮影範囲


というわけで、Super 35 mmのフレームサイズで撮影するには24P撮影を行わなければなりません。私の撮影する植物映像や自然の映像の撮影を24Pで行っても問題なく撮影できるかを確認するため、試し撮りを行いました。
加えて、90 mmマクロでの手持ち撮影でどの程度のぶれになるかについても検討しました。
被写体としては、ブロックノイズが出やすい水の波紋や落水を意図的に撮影しています。

S-Logその他の細かな設定はまだ行わず、太陽光、ISOオート1003200、絞り優先の静止画の設定からそのまま動画の撮影を行っています。

まずは、三脚を使わない手持ち撮影の結果です(いずれも4Kまで再生できます)

Sony A6300 4K 24P Test Clip

次に、三脚を用いた興福寺夕景のビデオ
Sony A6300 4K 24p Test Clip2 Kofukuji


最後に、A63004K 24PiPhone 6s Plus4K 30PA6000HD 60Pを4Kアップコンバートしたものの比較
Comparison Between A6300 4K 24P, iPhone 6sPlus 4K, and A6000 HD 60P

興福寺夕景のビデオについては、A630018-200mmズーム、A6000については、Nikkor 28 mm/F2で撮影しています。A6300をビデオ三脚に固定し、iPhone 6s PlusA6000を撮影する際には、その上に乗せて撮影しています。

三脚で固定して撮影すれば、とても素晴らしい映像が撮影でき、特に設定しなくても夕景の空の微妙なグラデーションをうまく表現しています。

最近では、三脚がなかなか使いづらい雰囲気になっています。京都府立植物園でも土日には園内での三脚使用を控えるように呼びかけられています。広角では手持ちでもかなりまともな映像になりますが、90 mmマクロ(135 mm相当)では、OSSがついているものの、さすがに微妙な揺れが4Kでは気になります。
その際には、ビデオ編集ソフトの「手ぶれ補正」機能が役に立ちます。

Sony A6300 4K 24P Test Clip
では、冒頭のつくばいと最後のアネモネに、Final Cut Pro Xの手ブレ防止を設定しています。このモードでは少し拡大されて補正されるので、厳密に言えば画質が落ちるのですが、ぶれた映像を見ることとのトレードオフの関係を検討することが大切です。

理想を言えばしっかりしたビデオ三脚での撮影、手持ちではできるだけ広角が望ましいのですが、そうでない状況もありますので、その際には、このような編集ソフトでの救済が有効です。

ちなみに、Final Cut Pro 7はそこそこ使えるのですが、Final Cut Pro Xはなかなか使えません。4K化を機会に、Final Cut Pro XAdobe Premier CCをもう少し使えるようにしなければなりません。



SonyノイズキャンセリングヘッドホンWH-1000XM4のトンネルボコッ大幅改善

 SonyノイズキャンセリングヘッドホンWH-1000XM4では、新幹線でのトンネル出入りの際のボコッが、WH-1000XM3と比較して大幅に減少しているようです。 山陽新幹線・九州新幹線ではトンネルが多いため、高速でトンネルに入ったり出たりすると、車内の気圧が急激に変動するため...