梅の花も終わりかけになり、そろそろ桜が待たれる時期になりました。
ソメイヨシノの花芽も動き始めています。
ソメイヨシノ×オオシマザクラの花芽 |
しかし、すでに実際に開花している種類もあります。
そのような早咲きの花として有名なのがカワヅザクラ(河津桜)Cerasus lannesiana Carrière,
1872 ‘Kawazu-zakura’です。
カワヅザクラ(河津桜)Cerasus lannesiana Carrière, 1872 ‘Kawazu-zakura’ 京都府立植物園 2016年3月12日 |
オオシマザクラとカンヒザクラの雑種と推定され、1955年に静岡県河津町で原木が発見されました。その原木が現在60〜70歳と推定されますので、最近の雑種です。
そのカンヒザクラ(ヒカンザクラ)Creasus campanulataは、中国南部から台湾が原産地で、琉球列島では野生化しています。
カンヒザクラ(ヒカンザクラ)Creasus campanulata 京都府立植物園 2016年3月12日 |
カンヒザクラを一方の親とする園芸品種は多数あり、昨日京都府立植物園で開花していたものだけでも
ツバキカンザクラ(椿寒桜)Creasus 'Introrsa'やシュゼンジカンザクラPrunus × kanzakura Makino 'Rubescenes'がありました。
ツバキカンザクラはカンヒザクラとカラミザクラの種間雑種で、愛媛県椿宮に原木があります。雄しべが長いのが目立ちます。
ツバキカンザクラ(椿寒桜)Creasus 'Introrsa' 京都府立植物園 2016年3月12日 |
シュゼンジカンザクラはカンザクラとオオシマザクラの雑種と推定されているそうです。
シュゼンジカンザクラPrunus × kanzakura Makino 'Rubescenes' 京都府立植物園 2016年3月12日 |
いずれも早咲きと強い赤みの特徴をカンヒザクラから受け継いでいるように見えます。
サクラ属全体の起源は、ヒマラヤザクラと推定されています。カンヒザクラもヒマラヤザクラに由来すると言われています。ただ、一つ興味深い点は、ヒマラヤザクラが秋咲きであるという点です。秋咲きのサクラが春咲きに変化したのには、サクラの分布が北上する際に何らかの変化があったからと思われます。
秋咲きということは、短日性の開花機序であると推定されますが、そこから、一端寒さを経験してからの温度の積算値(ソメイヨシノでは「400℃の法則」)で開花が決まるようになったことは興味深いことです。
なお、このブログに記載している植物の学名は、京都府立植物園の名札に記載されているものを基準にしています。学名にはシノニムが多数ありますので、ここに記載した学名が妥当であるかどうかを判断したわけではありません。
番外編として、御池桜を紹介します。
御池桜(おいけざくら) 京都市御池 2016年1月16日 |
この桜、京都の御池(おいけ)通りのビルの谷間に咲いています。実は、フダンザクラCerasus
serrulata ‘Fudanzakura’の一株で、秋から春にかけて長期間咲き続けるヤマザクラとオオシマザクラの交雑種です。花色はほぼ白色から、この桜のようにピンクの濃いものまであるようです。近隣の粋人が御池桜と命名し、大切に育てておられるとのことです。この写真は1月16日に撮影したものです。
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