Sony α7RIIでは、フルフレームカメラとしては最大のAFエリアを有し、しかもその大半が総計399点の像面位相差AFとなっています。
ところで、写真の構図の取り方として、三点分割法というのがあります。
画面を縦、横それぞれ3分割する線を二本ずつ引き、その交点(全体で4ヶ所)のいずれかに主題を置くようにすると、写真の構図がバランスのとれたものになるという考え方です。
この3分割を、Sony α7RIIのAFエリアを重ねて見たのが下の図です。
Sony A7RIIのAFエリアと三点分割法 |
緑で示されたエリアが、像面位相差センサーが399点配置されている領域、
水色がコントラストAFの領域(実際には、緑の部分も含む)です。
赤の線は三分割法の線を示しており、交点の◯の4ヶ所のいずれかに主題となるものを持ってくるというのが、三分割法の構図のとりかたです。
像面位相差センサーはみごとに、この構図の要所をカバーしていることがわかります。「主題だからと言ってそれにピントをあわせるとは限らない」という反論もありましょうが、多くの場合には、その要所(主題)にフォーカスをあわせます。つまり、Sony α7RIIの像面位相差AFエリアは、三分割法の構図をとるのに適していると言えます。動く物体で、外から画面の中に入ってきたものが、分割線の交点に来た時にシャッターを切るという状況でも、Sony α7RIIの像面位相差AFエリアは余裕をもって対応できます。
同じことがフルフレームDSLRのAFエリアでも言えるのでしょうか?それを示したのが下の図です。
あるフルフレームDDSLRカメラのAF領域と三分割構図 |
ブルーの枠は、五十数点あるAFセンサーの領域の輪郭を示しています。(多少上下のずれがあります)
これを見ると、三分割構図の主題ポイントをAFセンサーがカバーしていない、あるいはごく一部だけカバーしていることがわかります。なおここには、ある高性能フルフレームカメラのものを示していますが、競合他社の上級カメラもほとんど違いがありません。
つまり、上級DSLRであっても、構図を決定してからフォーカスを合わせようとすると、三分割構図でのオートフォーカスは困難ということになります。
これは、ボディー下部にある専用AFセンサーにサブミラーを介して光を通すため、AFセンサーを大きくするのは限界があるというDSLRのAF機構からくる制約です。
その際の解決法として、フォーカスを合わせたい部分にカメラを向け、そこでフォーカスロックして、構図をとりなおして撮影するという方法が提唱されています。しかし、これでは、「コサイン誤差」が生じ、焦点深度が極めて浅い場合には、この「コサイン誤差」が無視できず、「正確にピンぼけ」の状態となってしまいます。
また、そんなときにはライブビューを使えば良いという反論もありますが、ライブビューというのは、撮像素子面に入るイメージをそのまま利用するものであり、DSLRの特徴であるミラーをアップしますので、実質ミラーレス一眼と同じことになります。その際には、無用のミラーやペンタプリズムは無駄な重量となるだけということになります。
三分割構図の写真を撮ろうと思ったら、ミラーレス一眼のほうが便利かも知れません。
ただし、DSLRにも良い点がたくさんありますので、単純な比較はできないということには留意してください。また、APS-CのDSLRでは、相対的にAFエリアが広くなりますので、三分割構図が容易に行える場合があることも留意してください。
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