温室や花屋さんでも人気のランの花々ですが、実はほとんどのラン科植物の花は上下逆さまに咲いています。
花柄から子房が伸びてその先に花があるのですが、その子房が180°ねじれているのです。
そのことを思い出して、4月に子房の部分も撮影しましたが、ねじれていることのわかる子房はありませんでした。
でも確かに、シンビジウムかエビネで実際に見た記憶がありましたので、先日再度、京都府立植物園の開花株を調べて見ましたところ、見つかりました。
まずは、露地植えのキンラン
キンラン
Cephalanthera falcata (Thunb.) Blume 2015年5月2日 京都府立植物園
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子房(黄色い花の付け根の部分)がねじれていることがよくわかります。
キンランもギンランも野生の開花を見たことがありますが、圧倒的な美しさでした。
続いて、温室内にあったエノモトチドリ
エノモトチドリ
Amitostigma 'Enomotochidori' 2015年5月2日 京都府立植物園
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これも子房がよじれているのがよくわかります。
そして、サルメンエビネ
サルメンエビネ
Calanthe tricarinata Lindl 2015年5月2日 京都府立植物園
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こちらは、花にピントがあっており、子房はぼけていますが、ねじれている雰囲気はわかります。
これらは、よじれた結果として、唇弁(リップ)が下をむくことになります。
ですから、花の学問的には、上下さかさまにしたものが正しい?花の姿です。
シンビジウムの花式図では、12時の位置に唇弁(リップ)が示されています。
リップが下のラン(つまりほとんどのラン)は、子房がよじれいてるはずですが、それが外部からわからないものもあります。
コチョウラン
コチョウラン 2015年4月11日 京都府立植物園 |
それに、パフィオペディラム
パフィオペディラム 2015年4月11日 京都府立植物園 |
これらの花ではよじれていることが外部からではわかりません。
それでは全てのランでよじれがあるのかというとそうではないようです。よじれていない(つまりリップが上にある)ものや、よじれがばらばら(つまり、一定の向きに揃っていない)なものもあるとのことです。
花の向きを変えてまで、特定の昆虫による花粉媒介を高める戦略をとっているのがラン科植物ですので、よじれと媒介昆虫の行動との間に何らかの関係があるのでしょう。
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